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確率や統計における基準率(きじゅんりつ)とは、一般には特殊な条件をつけない、素のままの(基礎、ベースとなる)グループがもつ確率のことを指し、事前確率と呼ばれることが多い。 例えば、一般住民の1%が“医療専門職”であり、残りの99%は“医療専門職”ではないならば、医療専門職の基準率は単に1%になる。
医学を含む科学において基準率は何かを何かと比較するときに必須な情報である。例えば、“治療X”を受けた1000人が冬に風邪を引かなかったとしたら、Xは素晴らしい予防法のように見えるだろう。しかし、“治療X”の対象者全体における予防に成功した基準率が1/100(100,000人が治療を受けたが、そのうち99,000人は結局、風邪を引いた)であることを知ったら、印象は逆転する。治療の有効性はこのような基準率の情報を知った時に明確になるのである(“1000人も……、で何人のうちの1000人?”) 。 対照群をもつことが比較のための情報をさらに提供してくれる。治療Xを受けていない対照群において予防に成功した基準率が5/100かもしれない。このような場合、最初の1000人に成功したという報告に反して、実は“治療X”はむしろ風邪を引きやすくさせていることを対照群が教えてくれていることになる。
基準率(事前確率)と特性を与えたときのエビデンス(Likelihood, 尤度)を統合する正規化の手段はベイズ法によって与えられている。
数多くの心理学的研究が基準率の無視または基準率の錯誤と呼ばれる現象を調べている。これはある集団がある特性を持っているとき、その集団の基準率を正規の方法で組み入れることを怠ってしまうことである。数学者Keith Devlinがこの錯誤がもたらすリスクをわかりやすく説明している;ある種のがんがあり、全人口の1%がこのがんに罹患する。医師がある検査をすれば見つけることができ、信頼性は80%だと言う。実際にがんにかかっている人の100%がこの検査で陽性になるが、偽陽性の確率も20%あると言う-実際にがんにはかかっていない人でも20%の人に陽性という結果がでる。このような検査を受けて陽性となったとき、人は80%の確率で自分はがんに罹患していると考えてしまう。実際には罹患している可能性は5%以下であることをDevlinは説明する。統計数字を聞かされるうちに人の頭から抜け落ちてしまうものは基準率の情報である。 医師に対してこのように質問すべきである、“陽性という結果がでた人の中で実際にがんにかかっている人は何人でしょうか?(これが検査を受ける側としては気になる基準率になる)” ある人が特定の集団に属している確率を計算する時に、基準率に加えて他の特徴的な情報を考慮することになる。例えば、病院の中で白衣を着て聴診器を首にかけ、処方箋を書いている人を見かけたとしよう。その人が“医療専門職”である確率は基準率の1%から大きく離れることになる。