刺繍(ししゅう、英: Embroidery)とは、布や革の上に刺繍糸と刺繍針を使用して装飾を施す技術。「刺繍する」というように装飾する作業や完成した模様・文字を指すこともある。プリントなどに比べて立体感がある分、製造に手間がかかるため、完成品は高価になる。
刺繍とは、布地あるいはその他の素材に針とより糸で装飾を施す技術のこと。擦れに強い性質があり、軍隊のワッペン等に利用されている。
特徴は、 チェーン・ステッチ ( en )、 ボタンホール・ステッチ ( en )、 ランニング・ステッチ ( en )、 サテン・ステッチ ( en )、 クロス・ステッチ ( en )など、 ステッチ ( en )の最古の技法に基づいていることで、それらは現代の刺繍の基本的な技術として残っている。
機械刺繍 ( en )は産業革命の初期に登場し、手刺繍、とりわけチェーン・ステッチを模倣するために使われた。しかし機械によるサテン・ステッチやヘム・ステッチは、複数の糸によって施されるため、見た目は手刺繍と似ているが構造は異なる。
刺繍には、さまざまな色に染められた六本取りロウ引きなしの専用の糸(刺繍糸)と、針穴を大きく取った専用の針(刺繍針)が使われる。材料が糸であるという性質上、使っている糸の色や材質を刺繍の最中に変更したり出来ないので、使用する色や材質の数だけ糸を用意する必要がある。そのため、文化刺繍など数十色の色を使用する刺繍を行う場合は、専用の針山が使われる。刺繍糸の代わりに多彩な色のビーズを縫い付ける手法もある。
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中国の刺繍は3000年近い歴史を持つと見られ、周の『礼記』に養蚕や刺繍に関する記載があり、毛織物に簡単な刺繍を施したものも出土している。湖北省からは戦国時代中期の、湖南省からは前漢の細かな刺繍を施した布の実物が多数出土しており、現在の湘繍のルーツと見られる。宋の都であった汴州(べんしゅう)では刺繍が盛んに行われるようになり、現在まで1700年の歴史がある。
日本では、縫い目に呪力が宿るとされていた。そのため、大人の着物に比べ、縫い目の少ない子供の着物には悪いモノが寄り付きやすいと考えられ、子供を守るために着物の背中に「背守り」と呼ばれる刺繍を施す風習があった。また現在の北海道などに住むアイヌにも、「ルウンペ」「チヂリ」といった刺繍衣装がある。
中世ヨーロッパでは刺繍は上流階級の女性の教養として広まった。
大まかにわけて、人の手で行う手刺繍(てししゅう)と、機械を使用する機械刺繍、剣山状の針を使って布に糸を埋め込むパンチニードルとがある。